「形」はただの輪郭ではなく、
記憶や感情を宿す“器”としての役割もある

曲がって繋がって組み合わさることで
ありとあらゆるものを描く線

形は"輪郭"を与え、
その意味を強めたり、
新たな感情を加えたりする
 

よく目にするかたちの、
それぞれが持つ由来や意味

ながまる 楕円


流れ・包容・やわらかさ

円のやわらかさを保ちつつ、
方向性を含んだ楕円
「流れる命」や「広がる縁」

日本画の構図や、団扇、茶道具にも多用され、
静かな動きや余白を大切にする形

しなやかな変化を助け
優しさと柔軟性を育む

正方形
 
均衡・根拠・土台

正方形は四方を均等に囲む形
「地」や「基礎」

畳や神楽殿、格式の高い箱などにも使われる
「秩序」や「信頼」の形

地に足をつけた選択と
基盤を構築を助ける

正三角形

安定、誠実、公平

神様を祀る三角形の社殿配置や、
護符に描かれる形

三角形=霊山の形とされ
富士山や三輪山が代表的

上下を定めた三角形は「結界」や
「祈りの場」を示す形でもある

精神的な安定や守護の役割をし
原点に立ち返ることができる

願い事の形

葉形

芽生え・成長・循環

古くから植物の「いのちの循環」や「再生」

日本庭園では落葉も含めて
自然の移ろいを美ととらえ
葉は季節を知らせてくれる

平安期の装飾文様「葉菱」などのように、
葉型は生命と美の象徴とされる
自然とのつながりを感じる

何かを始め、新しい環境での成長を助ける形

長方形

秩序・道・志

巻物や掛け軸に見られる縦長の形は、
「道」や「志」の流れ

縦の長方形は視線を上へ導き、
精神的向上や目標の高さを意識させる形

明確な目標を持って進む
人生の方向性を定める形

菱形

豊穣・女性性・調和

米の実りや女性の子宮を象徴する
「繁栄」「豊穣」

雛祭りの菱餅の形でもあり、
桃の節句における健やかな成長を祈る意匠

日本の伝統文様「菱文」は
格式高い家紋にも使われる

家庭や心身の豊かさを育てるのを助け、
自己肯定感を高める

雫型(横雫)

流転・余韻・物語性

動きを感じさせる非対称形であり、
「余白」や「流れ」を体現する形

扇や流線文様にも通じ、風や水の動きを表す

流れる涙や香煙の形に、
“過ぎゆくものへの情緒”が込められている

変化の最中にある人へ
自らの過去や感情を肯定し、
それを物語として昇華する流れを感じる

蕾型

恵み・再生・内包

蕾や水のしずくの形は、命を育む源

しずくは雨として天からの恵みをもたらし
蕾はやがて花となる未来を内包している

「つぼみ」や「水」は謙虚さや可能性
和歌にも多く詠まれてきた

内なる可能性と癒しや再出発の息吹

織角型

均整・洗練・透明性

八角形に近い直線の集合で構成された形
均整の取れた美しさと理性

日本では刀の鍔(つば)や箱根寄木細工など
幾何構成に美を見出す文化があり、
その緻密な形は「職人の精神」や「心の整い」

整った美意識と曇りのない判断力を併せ持つ

六角形

調和・自然・永続

亀の甲羅に由来する「亀甲文」は
正六角形で描かれる長寿や守護の象徴

雪の結晶も六角形で、
自然界に見られる最も安定した構造のひとつ

伝統的な家紋や組紐などにも多く用いられ、
調和と持続性を表す

地に足をつけて生きる
ずっと続く関係性や仕事を築く手助け

樽型

蓄え・祝祭・重み

日本酒や醤油を仕込む器として使われ、
「蓄える」意味と共に鏡開きなど祝祭の象徴

ずんぐりとした形状は安定と包容を、
内に秘めた力強さを感じさせる。

努力を実らせる、一区切りの祝いの形

八角形

結界・吉祥・開運

八角形は「八方位を結ぶ」形とされ、
あらゆる方向への調和と結界

日本の神社建築や
魔除けの鏡(八咫鏡)にも見られる形
災いを遠ざけ福を招くとされる

転機を迎えた時、運気や空間を整える

正円

完全・無限・縁

始まりも終わりもない完全な形

「円相」として精神的完成や悟りの象徴

日本庭園の水面、満月、輪なども円形で、「縁」や「和」の形

心の調和と完成を目指す場面に